
無人営業にしたら万引きは増える? 無人店舗の防犯を「仕組み」で考える
2026年09月25日 17:14
■「無人にしたら、盗られ放題になるのでは?」
防犯への不安は、無人化を検討するほぼすべての店舗が抱く、もっともな懸念です。
営業時間を延ばしたい。人手不足を解消したい。
無人化・省人化に関心を持つ理由はさまざまですが、検討を進めると多くの方が同じ壁に突き当たります。
「スタッフがいない時間に、万引きされたらどうするのか」
小売業では、万引きは長年にわたる経営課題です。
有人でも防ぎきれないのに、無人にしたらもっと増えるのではないか?
本記事では、この不安に正面から向き合います。
結論から言えば、無人店舗の防犯は「カメラを増やせば解決する」ものではありません。
複数の仕組みを重ねて設計するものです。その考え方を順に解説します。
■無人店舗は「誰でも入れる店」ではない
入店認証によって「匿名で入れない店」にできることが、有人店舗との大きな違いです。
「無人店舗=無防備」というイメージの背景には、「スタッフの目がない」という前提があります。
しかし見落とされがちなのが、入店管理システムを導入した無人店舗は入口の段階で来店者を確認できるという点です。
一般的な有人店舗は、誰でも自由に出入りできます。来店者が誰なのか、店舗側は基本的に把握していません。
一方、入店管理システムを導入した無人店舗では、入店時に認証が必要になります。
ほんたすの導入店舗では、店舗ごとに次のような方式が採用されています。
・LINE会員証(QRコード)を使った会員認証
・顔認証端末による入店
認証を経なければ扉が開かないため、無人営業中の店内にいるのは「誰が入ったか記録が残っている人」だけになります。この「匿名性のなさ」自体が、強い抑止力として働きます。
つまり無人店舗は、見方を変えれば「有人店舗より入店のハードルが一段高い店」でもあるのです。
■防犯は「三層」で設計する
抑止・記録と監視・対応の三層を組み合わせることで、スタッフ不在の時間帯を守ります。
入店認証は重要ですが、それだけで万全というわけではありません。
無人店舗の防犯は、次の三つの層を重ねて考えるのが基本です。
第一層:抑止(「やろうと思わせない」)
最も効果的な防犯は、そもそも不正をしようと思わせないことです。
・入店認証で、来店者の記録が残ることを明確にする
・「防犯カメラ作動中」「入店記録を管理しています」といった掲示で、見られていることを伝える
・無人営業中であることと、そのルールを入口で分かりやすく案内する
「この店では記録が残る」と来店者が認識するだけで、不正の動機は大きく下がります。
第二層:記録と監視(「何が起きたか分かる」)
店内に防犯カメラを設置し、映像を記録します。
入店認証の記録とカメラ映像を突き合わせられるため、万一のことが起きた際にも「いつ・誰が」を追いやすくなります。有人店舗では、いつ・誰がを特定するのが難しいケースも少なくありません。この点は無人店舗ならではの強みといえます。
第三層:対応(「何かあればすぐ動ける」)
異常が起きたときに、誰がどう対応するかを決めておくことも欠かせません。
・警備会社との連携による、異常時の駆けつけ体制
・サポートセンターによる遠隔接客(お客様からの問い合わせや、機器トラブルへの対応)
防犯というと万引き対策に目が向きがちです。しかし実際の無人営業では、「セルフレジの操作が分からない」「扉が開かない」といった、困っているお客様への対応も重要です。
トラブルを放置しない体制そのものが、店舗の安全と信頼を支えます。
■運用で差がつく3つのポイント
機器を入れるだけでなく、「無人時間帯をどう運用するか」の設計が防犯効果を左右します。
同じ機器を導入しても、運用次第で結果は変わります。特に意識したいのは次の3点です。
1. 無人時間を想定した売場づくり
高額商品や小型で持ち出しやすい商品を、カメラの死角に置かない、レジ付近に集めるなど、配置を見直します。
店舗によっては、無人営業中だけ一部の売場を閉鎖する運用も考えられます。
2. 「無人で営業している」ことをきちんと伝える
無人営業の存在や利用方法をお客様に周知することは、集客のためだけのものではありません。
ルールを理解した常連のお客様が増えるほど、店舗は健全に運営されやすくなります。
3. 定期的な振り返り
棚卸しの結果や入店データを定期的に確認し、ロスの傾向があれば配置や運用を見直します。
無人営業は「始めて終わり」ではなく、データを見ながら改善していくものです。
■「小さく始める」ことは、最大のリスク管理になる
短時間の無人営業から始めれば、自店のリスクを実際のデータで確かめながら拡大できます。
防犯への不安が拭えない場合、いきなり長時間の無人営業に踏み切る必要はありません。
東京都杉並区の「あゆみBOOKS杉並店 supported by ほんたす」は、2024年9月に朝2時間・夜2時間の無人営業からスタートしました。約1年かけてお客様に無人営業が浸透したことを確認し、24時間営業のトライアルへ、そして正式な24時間営業へと段階的に拡大しています。
このように短時間から始めれば、次のことを実際に確かめられます。
・自店の商圏で、どのようなお客様が無人時間帯に来店するのか
・ロスは発生するのか、発生するならどの商品・時間帯か
・トラブル時の対応フローは機能するか
机上で不安を膨らませるより、小さく試してデータで判断するほうが、はるかに確実なリスク管理になります。
▼段階的に24時間営業へ移行した詳しい経緯とデータは、こちらの記事で紹介しています。
人手不足の書店を24時間営業へ|無人化で売上を伸ばした「ほんたす」導入事例
■まとめ:防犯は「不安」ではなく「設計」の問題
無人店舗の防犯は、仕組みと運用を組み合わせることで現実的にコントロールできます。
・無人店舗は、入店認証によって「匿名で入れない店」にできる
・防犯は「抑止」「記録と監視」「対応」の三層で設計する
・売場づくりやお客様への周知など、運用面の工夫が効果を左右する
・短時間から始めることで、自店のリスクをデータで確かめられる
「万引きが心配だから無人化はできない」ではありません。
「自店のリスクに合わせて、どこまでの仕組みが必要か」を考えることが、検討の出発点になります。
ほんたすは、入店管理・防犯カメラ・警備連携・遠隔接客といった機能を、店舗の状況に応じて必要な分だけ組み合わせて導入できる店舗省力化ソリューションです。書店での直営無人店舗の運営で培ったノウハウをもとに、機器選定から運用設計まで伴走します。
「自店の場合、どんな防犯体制が必要か」を整理するところからでも、お気軽にご相談ください。
▼ 導入にかかる費用の考え方については、こちらの記事もあわせてご覧ください。
フルパッケージは本当に必要?過剰投資を防ぐ店舗省力化の考え方